今回は新しく研修医になる方へ研修医本の紹介です。僕が2年間で使った本の中でコレだけは必要だと思う本を選抜してみました。5つ星のレギュラー本です。
以前に挙げた記事と重複がありますが、よりアップデートを重ねた最終版です!
【決定版】必読すべき研修医本を紹介する!
まず大前提として各科用のアンチョコマニュアルは推奨しません。〇〇内科レジデントマニュアルの様な本は回っている期間だけ借りれば十分です。内容は薄いですし、科を終えた後には無価値の産物となるため、推奨しません。
買うべき本は何度も繰り返して読む価値があるベーシックな内容の物です。どこの科に行った際も必要な知識、何年経っても必要な知識です。今の時代は検索すれば些末な知識は直ぐに出てくるため、学ぶべきは考え方でしょう。
また何百冊と購入される方もおられますが、そんなに読めません笑。数々の受験戦争を勝ち抜いてきた方なので分かると思いますが、大事なのは同じ本を繰り返して読む事です。そして分厚い辞書は通読出来ないので、まずは薄い本を読みましょう。
型が身につくカルテの書き方
カルテの書き方は人それぞれです。僕は美しいカルテを書く必要はないと思っていますが、「型」に沿った定型的な書き方が好きです。業務の多くはカルテを書く作業になり、その効率を上げるために「型」が必要です。
この本はその一例をシチュエーションに応じて提示してくれます。自分なりの「型」を作るために、まず初めにこの本を参考にして定型文を作っていく作業を行えば、自ずと作業効率および伝達能力が上がるでしょう。
竜馬先生の血液ガス白熱講義150分
学生の時に習う血液ガスは内容が薄く、重要性が分かりにくいかもしれません。しかし、救急外来やICUでは血液ガスは超重要事項の一つです。血液ガスも定型的な見方があり、その方法を分かりやすく教える本です。
血液ガスは解釈に唸っているような時間がないため、必要な時にさっと見て判断できるように日々トレーニングです。非常にシンプルなこの本は、その反復トレーニングにもってこいの一冊となります。
感染症診療のロジック&プラチナマニュアル
少し出版時期が古くなりましたが、感染症の基本を学ぶのには最適なのは感染症診療のロジックです。研修医になり、関わる機会の多い抗菌薬です。慣れるとお決まりのパターンになりがちですが、立ち止まって何故それを選ぶのかを考える本です。
基本的な考え方を学んだ後は、ポケットにプラチナマニュアル最新号を忍ばせておきましょう。僕は抗菌薬の選択を行う際に、いつも参照しています。ちなみに僕は感染症内科を長く回っていたので抗菌薬の考え方,使い方 ver.4 も拝読しました。こちらもオススメであり、ロジックが簡素だと感じる場合はこちらを推薦します。
内科レジデントの鉄則
鉄板中の鉄板ですが、やはりオススメです。病棟管理を行う上でよく出会うトラブルに関して、非常に纏まって書いてある本であり、4月から活躍する本です。2年目で読んでも新たな発見があり、内容としては隅から隅まで重要です。
本当に基本的なことですが、後期研修医で低ナトリウム血症の見方が分からない人もいます。故にベーシックですが、1年目で内容を頭に入れていれば、とても凄いレジデントだと僕は思います。まず初めの名著ですね。
レジデントのためのこれだけ心電図&3秒で心電図を読む本
心電図に関しても血液ガスと同様に、見てすぐに判断する能力が必要です。そのためには心電図への抵抗感を減らす必要があります。この2冊はどちらもオススメであり、これは「正常」or「何か違和感がある」といった最初のステージの本です。
僕は3秒で読む心電図をまず初めに使い、各論を学びたいと感じてこれだけ心電図を読みました。どちらも研修医レベルに沿った良い本であり、どちらもオススメします。
救急外来ただいま診断中&あなたも名医!もう困らない救急・当直

あなたも名医!もう困らない救急・当直 ver.3 当直をスイスイ乗り切る必殺虎の巻! (jmed51)
- 作者: 林寛之
- 出版社/メーカー: 日本医事新報社
- 発売日: 2017/08/25
- メディア: ムック
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僕が読み返したランキングダントツ1位はこの2冊です。研修医で必要な事は救急外来での対応だと思いますが、この2冊はマストです。どちらも名著です。
まず鑑別しておきたい疾患を分かりやすく示しており、大きな疾患を外さないためにも必読です。分かりやすい図表やスコアリングも掲載しており、非常に纏まっています。もう困らないに関しては電子書籍のシリアルコードも付属しておりお得です。
一方で、実際に急いでいる時にコレらの本を調べている暇はないのでポケットに忍ばせているのはアンチョコ本です。お守りとして持っておきましょう。
画像診断リファレンス&腹部画像教室
諸事情により画像診断の本は沢山読みましたが 、研修医レベルで必要な知識はこの2冊がオススメです。画像診断は広範囲ですが、これだけは知っておくべき疾患はリファレンスで浅く学び、より重要な腹部に関しては画像教室で学ぶのを勧めます。
特に画像教室に関しては、よりベーシックとなる読影方法、考え方に言及した画像診断系の本には珍しい本です。当直でも腹部を見る機会が多いため、優先的に学ぶ必要があると思い、推薦しました。オススメです。
ねじ子のヒミツ手技
手技に関しては習うより慣れろですが、初めての手技の予習やチョットしたコツなど学ぶ所が多い本です。久々にやる手技でも見直す事があるため、有用です。
研修始まってすぐにCV確保やルンバール、A lineなど侵襲的な手技をやる人もいるでしょう。いきなり言われて焦る前に、少し予習しておくと良いかもしれません。
人工呼吸管理がわかる本

- 作者: 古川力丸
- 出版社/メーカー: メディカ出版
- 発売日: 2013/03/22
- メディア: 単行本
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僕は苦手感の強い人工呼吸器ですが、A/C 、SIMV、PSなど基本的なことは何とか触れるレベルです。細かい最適な設定は置いといて、大きく外さない設定をする上でこの本を読んで良かったです。実際に自分で最初から責任を持って設定をする機会は少ないですが、全くの無知も問題なので麻酔科やICUに行く前に読んでおきたい本です。
シチュエーションで学ぶ輸液レッスン
輸液に関しては内科レジデントの鉄則に書いてある内容を抑えておけば良いと思いますが、もう少し纏まった勉強をしたい場合にオススメできる本です。
実際は細かいことは考えずに表を見て慣れたものを選択しがちですが、3号液を回し続けて低Na血症になってた例も見ますので、一度は立ち止まって勉強すべきでしょう。
持っておきたい辞書的な本
内科診断リファレンス

ジェネラリストのための内科診断リファレンス: エビデンスに基づく究極の診断学をめざして
- 作者: 上田剛士,酒見英太
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2014/02/10
- メディア: 単行本
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これは診療にも有用ですが、それ以上にレポートに有用ですね笑。僕はレポートは1年目に大部分を終わらせましたが、使用したのはUp to dateとこの本です。この本から辿って原著をレポートに引用すればすぐに終わります。
もちろん内科疾患全般にも有用ですが、辞書的な側面が大きいので通読は難しいでしょう。そういった意味ではベースの知識には向いていません。
異常値の出るメカニズム
こちらに関しては通読は難しいですが、辞書的な使い方では有用な一冊です。僕は第6版を使っていましたが、第7版で大幅に内容がカットされているようです。
スクリーニングで出して思わぬ数値が上昇していた際の疑問に答えてくれる本です。また、検査に出す際にも本当に必要なの?と思った時に振り返る1冊です。
おまけ
他にもエコーやICU管理等の他分野の本もありますが、僕が読んでいないので紹介できません笑。後は最近出た本に関してもチェックしてないので分かりません。
僕が繰り返し読んだのは上記の本くらいです。各科の細かい知識に関しては忘れるので、その場で誰かに借りれば十分だと思います。僕は普通に指導医に借ります。
その他に有用だったのはネット検索です。中でも1年目に頻用していたのは今日の臨床サポートでした。僕の場合は病院契約でしたが、個人契約も出来るようなので、トライアルしてみてる価値はあると思います。
繰り返しになりますが、参考書を買っただけでは知識になりません。決して安い買い物では無いのです。限られた優れた本を繰り返し読みましょう。