お久しぶりです。先週は日直+講習会で時間が作れずブログ更新をサボってしまいました。今回っている科は余裕があり、大変にQOLの高い生活を送っています。
持ち患が4人と少数で、尚且つ雑務が少ないので精神衛生上ありがたいです。
今回は、最近の僕が感じた過去問をより良く解き、臨床へ生かす方向を考えてみました。実際に僕が臨床現場で考えていることです。
胸痛患者をみたら?
今回は簡単なテーマで考えてみます。
丁度良い問題である111A35で試しましょう。普通に答え出すなら瞬殺問題です。
「69歳女性。呼吸困難と胸痛」
この触れ込みだけで救急隊から電話が掛かって来た際に何を考えるかです。
あれやこれやを考えていても仕方がないので、絞って考えましょう。
→AMI、解離、肺塞栓、緊張性気胸
この4つが絶対に見逃してはいけない4疾患です。
これに食道破裂を加える本もありますが、今回は省きます。
患者さんが到着して何が大事でしょうか。
パッとした見た目。155cm76kgなので太ってますね。
DM、脂質異常症、高血圧といったリスクファクターがありそう。
次は病歴です。あれこれ聞いている余裕はないので簡潔に。
上記の中でも特にAMIは否定したいのでそこから。
「いつ、どこ、どういう風に」
→1時間前突然(sudden)、場所・性質は今回は書いていないですね。
聞ければリスクファクターである既往歴、生活歴を聞きたいところ。
同時にバイタルと心電図をとります。
バイタルはBP110/80mmHg,RR22/分,SpO2 91%(room),HR104
ECG→洞性頻脈
出来れば血圧は左右で測りたいです。(解離の否定で)
ここでまずはAMIっぽくはないなってなります。
ECGの中でも◎ST↑〇異常Q波、T波が陰転化、PoorRという位置づけなので。
NSTEMIもあるので絶対ではないです。(採血で心マーカーは出します)
次に身体所見を取ると、
呼吸音異常なし、呼吸性変動なし→気胸ではなさそう。
加えて胸部Xpでも問題ないので更に違う。
解離も呼吸困難を来すとなるとARから心負荷でうっ血性に来す可能性はありますが、心音正、胸部Xp正常から可能性は下がります。
で、肺塞栓はどうなんだって話です。
この問題では白々しく自家用車で睡眠とか書いてありますが、患者さんがご丁寧に喋ってくれる保障はなく、喋れる状況かどうかも怪しいです。
ぶっちゃけて言うと、この時点ではまだAMIも全然有りだし、気胸は無いにしても解離も否定しきれないです。
と言うわけで、更にこれらの疾患を除外していくにはどんな検査が必要か。
実際には速効で採血して心マーカー、Dダイマー提出。血ガスも速効で出して酸素化や末梢循環不全を評価。結果待ちの間にエコーで壁運動以上、右心負荷などを検出して、それでもどうしても解離と肺塞栓を否定できないときに造影CTに踏み切るという感じです。
ここで拡散障害を調べてどうすんねんって話ですよね笑
実際にどう言う解き方が良いか
という訳で、グダグダ書いているわけですが、実際にどう解けばいいのか。
問題自体は簡単なので、より実践的に踏まえると、
①胸痛でクリティカルな疾患は何なのか(理想は5つ以内)
②問題文の中の病歴、バイタル、身体所見、検査は①の中で何を否定して、何の特異度を挙げているのか
③診断は?
④重症度は?→治療は?→治療効果判定は?etc
僕が学生の時だと①の視点はまず無かったです。
パターン暗記で診断を決め、後は検査特性を理解して問題を解いていました。
振り返って国家試験の臨床問題をみると、無駄な事は一切書いてないと思うようになりました。本番だと呼吸困難・胸痛→DVTっぽい病歴→PEの検査を選ぶといった流れで、問題文の意味を理解していないことが多かったです。
理想的な勉強としては①②③が出来たらとっても優秀な人材になれると思います。
④は時間があり、実際にも参照しながら評価するので焦る必要はないですが、①②は頭で想起しながら診療しなければならないので引き出しを増やす必要があると思います。
僕の研修医生活は①②を身につけるだけで、あとは全く求めてません。材料をそろえて特異度を挙げてコンサルトするだけの人生です笑
クリティカルな疾患さえ見逃さなければ後はまぁドンマイで。
といった上記の流れは以前に紹介した下記の本に沢山あります。
余裕のある学生は該当する症候を参照しながら過去問を見直してみると、4月の時点でとてつもないデキレジデビュー出来るかもしれません。