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僕が医者になるなんて胃が痛い。続

胃が痛い医者人生をより良く生きるために

医者になりたくない医学生へ

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いよいよ3月になり、卒業シーズンとなりました。

医学部に入り6年間という長い学生生活を終え、ついに卒業です。

 

今回は卒業に際して考えた事を書きたいと思います。

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医学部を辞めたかった

何となく医学部に入ったという目的意識の無い低学年の頃は勉強は難しく、周りの頭の良さについていけずに何回も辞めようと思いました。また、医学部独特の閉鎖的な雰囲気に辟易し、その後の人生もこういった狭い世界で生きていかなければならないと思い、医学部に入ったことを心底後悔していました。

 

高校の友達が東大に入って充実した大学生活を送っていることを凄く羨ましく思い、一方で自分は地方で面白くない基礎医学や教授のさじ加減で留年の有無が決まる理不尽な世界で意味も無く生活していることにうんざりしました。

 

それでも自尊心が強く、自分の能力不足で他の人に遅れを取るのが嫌で何とか低学年を乗り越えることが出来て良かったと思います。実際にどこかで躓いていたら立ち上がるモチベーションは無かったので、今こうやって卒業出来るところまで来られたのは幸運だったと言うほかありません。

 

やりたい事もない

精神科で言うところの自我同一性の形成障害です。今思えばモラトリアム期間の真っ直中にいたと思います。医者になりたくないから何になりたいかと問われたら「特にやりたい事はない」といった自分自身でも漠然とした状態でした。今まで少なからず努力はしてきたからそれなりの職には就きたい。そういった思いしかありませんでした。

 

隣の芝生は青く見え、医者以外の仕事が楽しそうだとばかり思ってました。医者はずっと勉強しなければならない、3K 職場、給料も思ったほど高く無い。職業選択として強い意志の無い人がなる仕事ではないと常々思ってました。この時は医者を変に崇高でボランティア精神の塊だと勘違いしていたのが最大の間違えだと今は思います。

 

考え方が変わった

一番大きく考え方が変わったのは3年生頃だった思います。その当時の知り合いの麻酔科の人の話が印象的でした。話はゲスな内容で、”何処にも属していないフリーの麻酔科なら年収2千万で休みは自由、数年頑張ったら勉強なんか一切していない”といった物でした。実際にこういった美味しい話は何回も聞いたことがあるし、一般性に乏しいのは分かっているけど、その人の人生の割り切り方が面白かったです。

 

この話を聞いて「そうかフリーの麻酔科になろう!」とか「白内障オペ専門の眼科医で開業しよう!」と思いはしなかったですが、職に対してある程度の割り切りを持てば視野が広くなるという考えは大切だなと思いました。自ら志願して労働基準法を無視した命を削った仕事をしなくても、一歩引いて人生を楽しむ生き方ならば医者以上に簡単なレールが敷かれた仕事は無いと確信するようになりました。

 

また、見渡すと同じような人が想像以上に多いのだと思いました。医学部入学時は多くの人は確固たる意志を持った人ばかりだと思っていたのですが、少なく見積もっても半数は僕と同じような性質だと気づくようになり、そういった人が医者になると考えると下手な罪悪感を持たなくて良いと分かり気が楽になりました。

勉強は大切だと悟る

今までと違った見方で人生を考えた際に、まずはストレートで医者になることが最優先だと思いました。若ければ若いほど方向転換はしやすいし、何より勉強が出来ない人に職業選択の自由はないと思ったので、それまで以上に盤石な勉強をするようになりました。幸いにも僕の友達も同じような考え方を持った人が多かったので、共に勉学を頑張ることが出来ました。

 

この考え方は今も変わらず、勉強は続けていこうと思います。仕事と割切るにしても、良い仕事(患者の利益)をするに当たっては経験と同じくらいに勉学は必要で、歩みを止めて患者の不利益を被るような事だけは仕事柄あってはならないと思います。

 

僕は真面目な不勉強よりも不真面目な勤勉という表現を使ってます。動機はどうであっても結果を伴える方が大事で、この職業なら患者の命を救える方が正義だと確信しています。偽善だろうが関係ありません。

 

将来の事は何も分からない

色々と書きましたが、将来の事は何も分からないです。医者という仕事が衰退することはないですが、いつ競争社会になるかも分からないですし、戦う場所が変わってくるかもしれません。その中で自分の強みを見つけることがこれからの人生だと思います。

 

僕は今考えている志望科で10年は頑張って、何か強みを作りたいと思います。それが教授を目指す道であったり、市中病院であくせく働く道、開業して利益最優先で働く道、医療現場から離れる道かは分かりません。

 

一度しか無い人生なので面白い道を歩めたら幸せだと思いますが、こればっかりは運なので自分で引き寄せるしかないですね。早く引退して趣味に生きるのも良い人生だとも思うし、頂点を目指す人生も楽しいと思います。

 

最後に

以前に匿名ダイアリーで医者になりたくない医学生の記事を見ました。

anond.hatelabo.jp

 

僕はこの記事を読んで共感するところも多く、同じ思いを持つ医学生は多いのだと思いました。卒業まで辿り着けた僕が今思うのは、少し引いて見ると決して医者は融通の利かない悪い仕事ではないことです。自分のやり方次第でまだ色んな選択肢は残されていて、選択の自由もあります。医者=テレビで見るような医者では無く、色んな医者がいて当然だと思います。

 

現に僕の尊敬するmedu4の穂澄先生も医療現場の最前線から離れて、教育の世界で活躍しています。多くの医学生の助けとなる穂澄先生は他にない強烈な強みを持ち、これ以上ない素晴らしい仕事をしています。

 

もちろん選択肢を広げるためには免許を取り、自助努力をする必要があります。もし悩んでいる医学生がいるなら、”気負わずに後少しだけ頑張ってみない?”と今なら言えます。長くなってしまいましたが、今なら医学部入って良かったと思えます。